大衆小説のおすすめ案内
2015年は純文学にスポットがあたった年に感じましたが、真逆のような大衆文学にスポットがあたるのは2016年でしょうか?
流行の先取り?ではないですが、今回は大衆小説のおすすめ紹介です。
冷静と情熱のあいだ
女性の立場から書いたRossoと男性の立場から書いたBluがあり、それぞれを1章ずつ読み進めていくと、最初は全く交わらなかった二人の今が、少しずつ少しずつ近づいていくのがわかり、胸がしめつけられるような気持ちになります。
今がどんだけ充実していても、それをすべてなげうってもいいと思えるほど、運命の相手とはこれだけ相手の心に住み続けていくのだなと実感しました。小説の中で使われる言葉にも作者独特の表現が数多くあり、読み手に余韻を残してくれる小説で、登場人物の男性の実直な感じや女性の難しい感性がそこからも楽しめます。
小説の舞台であるイタリアの描写がとても美しく、新婚旅行はこの小説に描かれた場所をめぐる旅行にしました。実際に小説の舞台の一つであるフィレンツェのドゥオモに上ってみると、歴史の止まった街並みが眼下に広がり、それでいてこれからの未来を暗示するかのような青い空と気持ちのいい風が感じられ、確かに10年ぶりの再会にふさわしい場所だと感じられました。
⇒冷静と情熱のあいだ―Rosso (角川文庫)