おすすめ10良書!時代小説・歴史小説ならこれ!
時代小説と歴史にそった歴史小説からおすすめどころをピックアップ!
紹介の線引が曖昧だろ!みたいなツッコミはなしでお願いします!
かなりバラバラなラインナップです。歴史書が混ざってるとか言ったのだーれ?
坂の上の雲
司馬遼太郎著の明治におきた日清日露戦争を扱った作品です。
主人公は松山出身の陸軍秋山好古と弟の海軍秋山真之と俳人正岡子規の三人ですが、ほかにも魅力的な人たちがたくさん登場します。
この作品はNHKでも毎年年末にシリーズとして放映されたので、ご存知の方も多いと思います。テレビと小説ともに日本とロシアに中国を舞台に壮大なスケール書かれており、明治日本人の楽観主義と悲壮感、そしてひたむきな姿勢が司馬史観を織りまぜられてユーモラスでテンポよく話が進んでいきます。
また正岡子規の俳句に傾ける情熱と真之との友情も、読んで心に残るところだと思います。
⇒坂の上の雲〈1〉 (文春文庫)
三国志
堅苦しい本だと思い込んでいましたが、読んでみると時間も忘れて読み続けてしまう本です。その理由の1つに、登場人物が多いのに、一人一人の考え方、思いなど人物像がしっかりしており、感情移入しやすい事が挙げられます。
自分も本の登場人物の1人になったのでは無いかと錯覚をしてしまうほど人々の機微に触れて書かれています。
それ故に、一番のお勧めは、登場人物達の人間関係の模様です。仲間達は助け合い、敵であっても男気や実力がある人達は認め合い、それぞれが思う国を造るべく切磋琢磨していく様子はとても感動します。
その中でも、家族や友達を思う気持ちや戦略などの仕方は現代の生活の中でも参考になりますし、とても役に立つ事もこの本の良いところの1つです。
⇒三国志 (1)
散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道
第二次世界大戦中、硫黄島防衛の最前線で指揮をした栗林中将の小説です。
作品の前半では栗林中将の決別電報の解説や彼の部下だった男性の証言があります。
骨踏む島と呼ばれる硫黄島、物資や弾薬全てが不足するなかアメリカ海兵隊に記録的な大打撃を与え、全滅するまで戦い続けた兵たちとその兵たちを訓練した中将について詳しく書かれています。
戦場で人を殺す兵たちも父であり、息子であり、誰かの大切な人だったということを彼らが戦地から送った手紙や家族の証言から深く実感することができます。
第二次大戦といえば、真珠湾攻撃や広島・長崎の原爆投下などにフォーカスされることが多いですが、孤島で日本本土を守るために戦った兵士たちに思いをはせるのはいかがでしょうか。
筆者は女性なので、戦争を扱う小説を読みなれない方でも取っつきやすいかと思います。
⇒散るぞ悲しき―硫黄島総指揮官・栗林忠道
忍法八犬伝
山田風太郎作品と言えば甲賀忍法帖が有名ですが、こちらもオススメです!
甲賀卍谷で修業した8人の男たちと、伊賀のくノ一8人が、家宝の珠を巡って戦う物語です。
古い時代小説なんて読みにくくてつまらないと思っている人にほど読んでもらいたい一冊です。
まるで少年漫画を読んでいるかのようなテンポのよさ、特殊能力のオンパレードにすぐ読み終わってしまうことでしょう。
特に戦いの始まりは圧巻。ロクに働きもしなかった怠け者の男が、忠誠を誓った姫のために捨て身で敵の元に乗り込んでいくのです。
そこを読んでしまったら最後、どんどん物語にのめりこんでいってしまいます。
男たちのそれぞれの策略も見もの。「そんなのあり!?」と思ってしまう作戦もありますが、最終的に読者を納得させてしまうのが山田風太郎の持ち味とも言えます。
⇒忍法八犬伝 山田風太郎
耳袋秘帖「妖談」シリーズ 妖談へらへら月
このシリーズの作品は全て面白いです。
実在をした根岸肥前守の周辺で起こった事件を解明していくのですが、不思議な話の裏には必ず何かある、というその何かを解明していくのも面白いです。
この妖談へらへら月は「月が笑うんだって」という不思議な言葉が1つのテーマになっています。
どういうことなのだろう?と読み進めていくと「なるほど、そういうことだったのか」と驚かされます。
江戸時代の人々の暮らしも盛り込まれているので、こういう生活をしていたのか、ということも分かるようになっていて、興味深く面白く読むことが出来る作品です。
⇒耳袋秘帖 妖談へらへら月
流星 お市の方
日本の歴史上でもっとも美しい女性とされる、お市の方。
織田信長の妹として注目されて生きてきました。
このお市の方の子どもが浅井三姉妹です。
浅井三姉妹も数奇な運命を辿りました。
この流星 お市の方はあまり語れることがなかった、お市の方の心情などが手に取るように分かります。
日本史上でももっと有名と言っても過言ではない、織田信長の妹とはどのような人だったのか、どのような考え、信条を持っていたのか、知るには最適な作品だと思います。
お市の方が生きた戦国の世というのは、男性中心の時代でしたが、この時代の女性がどのように生きたのかも分かる作品だと思います。
⇒流星―お市の方〈上〉
オクシタニア
中世フランスに起きた宗教戦争、アルビジョワ十字軍を題材にした大作。正統カトリックを擁する北部軍が、異端のカタリ派を奉じる南部に攻め入り宗教面、政治面で従えていった戦いです。
物語はカタリ派の集団に身を投じた女性ジラルダとその夫エドモンの関係の軌跡を軸に描かれています。カタリ派指導者の崇高な姿に感化された妻が家を出奔、そこで北部軍と南部軍の武力衝突が発生。
夫はあえてカタリ派を弾圧する異端審問官となり、妻を取り戻すために奔走する…というあらすじです。印象的なのは、南部の人たちが関西弁を話すこと。当時のフランス北部と南部の関係を、平安日本の「武骨な東国」「文化の香る上方(関西)」のように描いています。
北部・南部両軍の軍事指導者、カトリック・カタリ派の指導者らのおりなす政治的な駆け引きが、説明的でなく登場人物の目線でページを割いて描かれ、歴史小説としての醍醐味を味わえます。
信仰の光を求めながらも正しくばかりは生きられず、それでも時代の荒波の中でしたたかに生き抜く人々の姿に、この作家らしい魅力を感じます。
⇒オクシタニア
夜明け前
物語の舞台は幕末から明治維新の頃。中山道の馬籠にある本陣(大名が参勤交代の際に利用する宿)の主人、青山半蔵の物語です。
国学を深く学び、貧しい者の生活向上を願う半蔵は、維新の実現とそれによる社会変革を、信念をもって願っていました。実際、地元の有力者として、新政府の指示に協力的に対応すべく自ら地元に働きかけ時には体を動かして範を示そうとしました。
しかし政府は山林を国有化して地元民の山林資源利用を禁止し、半蔵の公職を解くなど、半蔵の思いは裏切られていきます。
参勤交代がなくなり中山道も活気が薄れ経済的にも追い詰められていきます。
社会変革と聞くと漠然と良い事のような印象を持ちますが、社会が大きく変わるとき、変革者の掲げる理念や理想が社会でそのまま実現するわけではなく、切り捨てられる人や割を食う人は必ず出てきます。
主人公は学究肌の繊細な感性の人です。彼のように要領よく渡世できない性格の人は、たとえ変革に共感し協力的に行動しながらも痛みを強いられることもある。そんな世の中の残酷さが胸に迫る作品です。
⇒夜明け前 (第1部 上)
竜馬がゆく
言うまでもなく司馬遼太郎の代表作の一つです。
現在に続く坂本竜馬という人物像を作り上げた作品です。この作品が世に出る以前には、幕末動乱から明治維新に至る世に知られた歴史の中に坂本竜馬という名はありませんでしたし、敢えて言うならば現在の同時代の史実までも作り上げてしまった作品と言うこともできるかと思います。
それほどに、この作品の中の竜馬は生き生きと時代の流れの中を自由に泳ぎまわり、小説に描かれた竜馬の人物像が現実のもののように読者に印象づけるほどの筆力を持って読者に語りかけている作品だと言えるのでしょうか。
若いうちに一度は読んでおくべき作品だと思います。
⇒竜馬がゆく〈1〉 (文春文庫)
城のなかの人
星新一は日本のショートショートの先駆者であり名手です。彼のファンの期待を裏切らない内容ですので取り上げました。ショートショートではありません。5編からなる本ですがここでは城のなかの人を紹介します。
歴史上に存在する(豊臣秀頼)を主人公としています。
しかし、彼の境遇については父の秀吉があまりに大きな存在であるためにあまり世間では知られていません。その彼について星新一ならではの人物描写を行っている点がここで取り上げた理由です。あくまでも冷静な目で秀頼を見つめ、その存在の意味を問うた作品といえるのではないでしょうか。
秀頼を意識し始める作品です。
⇒城のなかの人 (角川文庫)